公益法人改革3法がこの12月1日から施行になり、 いよいよ公益法人が生まれ変わることになりました。
公益法人改革3法とは、次の3つの法律です。
- 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(H18法律48号)
(略称:一般法人法) - 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(H18法律49号)
(略称:認定法) - 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び 公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(H18法律50号)
(略称:整備法)
法律の根拠なしには、法人は設立できず、存続もできませんが、 その根拠法である民法の110年振りの大改正です。したがって、 これは、当の公益法人はもちろん、行政等にとっても新たな課題 を投げかけているといえます。
1 新公益法人は2階建て
(1) 公益法人とは
法人は次の表のように分類されます。利益の分配をするか・しないかにより左右に営利法人と非営利法人に区分します。さらに、公益を目的とするか・どうかにより 上下に分けます。結果として4つに分類されます。
公益法人とは、非営利かつ公益目的の法人です。このうち民法の規定に基づく「社団法人」「財団法人」を総称して狭義の「公益法人」といいます。 社会福祉法人等も広義の公益法人ですが、これらは戦後民法から独立したものであり、「社団法人」「財団法人」が公益法人の代表であり、宗家でした。
(法人の分類と公益法人・中間法人)
非営利(一般法人)
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営利
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公益 |
公益法人 社団法人(民法) |
公共企業 電気会社(会社法・個別事業法) |
非公益 |
中間法人 中間法人(平成14年4月施行) |
営利企業 株式会社など(会社法) |
(注)「営利」「非営利」とは、利益を分配するかどうかによる分類であり、「公益」「非公益」とは目的事業による分類です。このうち上記の太字法人が 今回の制度改正の対象です。
(2) 中間法人とは
法人の中には、営利を目的としないが、公益も目的としないという法人もあります。「公益」でも「私益」でもない「共益」を目的とする法人です。 これを共益法人とか中間法人といいます。互助的団体です。
これについては、民法によっては設立できず、中間法人法によって設立の道が開かれましたが、これも廃止され、一般法人法に吸収です。
(3) 一般社団法人・一般財団法人とは
今まで社団法人、財団法人及び中間法人の根拠法であった民法及び中間法人法が本年11月末をもって廃止となり、今後は一般法人法が根拠法となります。
従って、今後は、一般法人法に基づかなければ「社団法人」「財団法人」を設立することはできませんが、同法は、非営利法人を公益法人と非公益法人に区分せず上の表の左半分を1グループとして捉えています。これが「一般社団法人」「一般財団法人」です。従って、「一般社団法人」「一般財団法人」の中には、公益を目的とするものもあれば、公益を目的としないものもあるということになります。
出資者等に利益を分配しないという点が共通しています。 一般法人法が非営利法人法といわれるのはこのためです。
(4) 2階建ての新公益法人
新法の下では、公益法人もすべて一旦一般社団法人または一般財団法人として設立しなければなりません。そのうち認定法に基づき公益認定を受けた法人だけが 「公益社団法人」「公益財団法人」と称することができます。
いわば2階建てであり、2階にあがるかどうかは、法人の任意ですから、一般社団法人、一般財団法人には実質的公益法人も含まれます。2階は名実ともの公益法人ということになります。
(新公益法人のイメージ図)
生まれ変わる公益法人
現在ある公益法人は「従来どおり」だとよくいわれますが、これはどういうことでしょう。現在ある公益法人は、平成20年12月1日以後も従来どおり、 民法の規定に基づき存続し続けるのでしょうか。
そうではありません。整備法の規定によって、 平成20年12月1日午前零時を期して、一斉に、一般法人法による一般社団法人又は一般財団法人として存続することとなるものです。移行前のこれらの法人を「特例社団法人」「特例財団法人」、総称して「特例民法法人」といいますが、一般法に基づき設立された「一般社団法人」「一般財団法人」とも違います。
したがって、特例民法法人には一般法人法が適用されます。ただ、整備法に適用除外規定があったり、特例が定められているだけです。したがって、「従来どおり」だといっても、適正な管理、運営をするためには、施行日以後は、一般法人法、整備法を無視することはできません。
以上が新公益法人制度の仕組みですが、今後は、すべての制度がこれを前提に制度設計されますので、 この理解が不可欠です。