- 社員総会・評議員会の招集通知は、到達しなければいけませんか
- 会議の招集通知は、書面でしなければいけませんか
- 理事、監事は社員総会・評議員会に出席しなければなりませんか
- 議案の説明を事務局に任せていいですか
- 理事会の開催を省略し、定時評議員会を開催するには、どうすればいいですか
- 役員改選後直ちに代表理事等選定理事会を開催するには、どうすればいいですか
- 決議の省略により役員の補欠選任をするには、どうすればいいですか
- 定時評議員会が延期、続行となった場合、旧役員はいつ退任するのですか
- 理事には忠実義務が加わったそうですが、責任が重くなったのでしょうか
- 業務執行の一部を特定の理事に委ねることはできますか
法律は通知を「発しなければならない」と定めており、到達することまでは求めていません(法人法39①、 182①)。
したがって、例えば、会議日の「1週間前までに」というのは(法人法39、182、 94、 197) 、発信日と会議日を除き、中1週間置いて発信すればいいということです。
次のように社員総会・評議員会の招集は、理事会非設置法人を除き、書面でしなければなりませんが、理事会については、そうとは限りません。
理事は招集者であり、提案者です。理事、監事は社員総会等で説明する義務もあります(法人法 53、 190)。したがって、出席しなければなりません。
議案の提出者は理事であり、説明義務を負っているのも理事ですから理事が行うのが望ましいと思われますが、これまでの慣行、内容の軽重等適切な範囲で事務局に説明させることは差し支えないと考えます。しかし、事務局は、あくまで補助者ですから最終責任は、理事が負うしかありません。
次のような方法が考えられます。定時社員総会についても同様です。
この場合、理事会決議は、最後の理事の同意があった時に成立します。理事会の招集手続は、不要です。
- 決議の省略により次の理事会決議を行う。
- 計算書類等の承認
- 定時評議員会提出議案の決定
- 定時評議員会の日時、場所、議題等の決定
- 書面による理事全員の同意及び監事全員の異議がない旨の確認(理事会決議成立)
- 定時評議員会の招集通知の発信
- 定時評議員会の開催
代表理事、業務執行理事は、任期満了であっても理事を退任すると、それと同時に退任となりますから、たとえ再任する場合でも代表理事、業務執行理事を選定し直す必要があります。
それには理事会の開催が必要ですが、そのためには1週間前までに召集通知を発しなければなりませんから、この場合は、その招集手続を省略して、その場で理事会を開催し、代表理事等を選定するのがいいでしょう。招集手続の省略は、口頭の同意で差し支えありません。
年度途中で補欠選任が必要となった場合にどうすればいいかですが、次のようにすれば、理事会、評議員会の開催を省略して補欠選任することができます。ただし、これは、全員の同意が得られることが明らかで、緊急やむを得ない場合に限られるべきでしょう。
- 決議の省略により次の理事会決議を行う。
- 役員の補欠選任案の決定
- 決議の省略に係る評議員会の議題の決定
- 書面による理事全員の同意及び監事全員の異議がない旨の確認(理事会決議成立)
- 書面による評議員全員の同意(評議員会の選任決議成立)
なお、社団法人の場合は、書面による議決権の行使が可能で、その場合には、全員の賛成が得られない場合でも選任決議が可能ですからこれを検討すべきでしょう。
評議員会が延期又は続行の決議をしたときは、これによって開催される延会又は継続会は、元の評議員会の一部と捉えられているため、そのための招集手続も執られません(法人法 56、 192 )。これは社員総会についても同様です。
一方、旧役員は、定時評議員会終結の時に退任しますので、延期・続行の場合は、延期・続行された定時評議員会すなわち延会又は継続会の終結の時に退任します。たとえ、続行の決議前に役員の改選決議がなされていてもその時に退任するのではありません。
なお、延期と続行の違いは、審議に入る前に延長するのが「延期」、審議未了のため延長するのが「継続」です。
【善良なる管理者の注意とは】
それを職とする者が通常の能力をもってその場合の事情に応じ当然に払うべき注意を払うことです。特別にむつかしいことではありません。
確かに新たに忠実義務規定が設けられていますが(法人法 83、 197 )、もともと理事は法人に対して受任者として善良なる管理者の注意義務を負っていたのであり、この規定が設けられたからといって理事の責任が重くなったとはいえません。この規定は、注意的に善良なる管理者の注意義務を理事に当てはめ明らかにしただけとされています。
今回の改正で、理事の損害賠償責任の一部免除規定が設けられたことなどを併せ考えると、理事の責任が重くなったというよりは、責任範囲が明確になるように規定が整備されたと見るべきでしょう。
法人の代表、業務執行のすべてを代表理事、業務執行理事が行うのは困難です。職員に一定の事務事業を行わせ、業務の一部を特定の者に委ねざるを得ません。それは雇用、委任、代理によって可能であり、業務執行の一部を特定の理事に委ねることもできます。ただし、理事会の専権事項(重要な財産の処分、多額の借財、重要な使用人の選解任その他(法人法 90④、 197 ))は委ねることができません。